私の書いた詩 "遺稿 改 生こう" 詩 吉本素直 (只今 詩集を作成中)
詩 吉本素直 (筆名)
阿阿 私はどこまでこうして落ちぶれて
生命断絶の意を固めるまでの破綻した精神状況に陥ったのか?
最早眼前には死あるのみの灰色の光の通らぬ小部屋にて
自己以外の誰とも対話する手段を持たずして
追いやられて行くのを知りつつも
未だ尚、一人で居ようというのだ?
人は皆おしなべて手を取合い生きていくというのに
孤独など飽きる程に経験したというのに
それでも尚、愛する唯一の恋人も持たずに
懲りずに鉛筆を削っては丸くなり
丸くなれば尖らせて
誰も見ぬ 誰も聞かぬ我が失望を
泣きっ面で書き連ねているのだろうか?
貧困に喘ぎ、自我に困窮し、自滅的行動に走り
努力も徒労に帰す労働も
人たるが故の義務や大義名分を放ったらかし、
ただ形而上学的な哲学論争に明け暮れて
あらゆる宗教書物を読みあさるが
どれも不審な眼差しで挑み
騙されまいと片意地を張り
挙げ句の果てには知識を全て放棄する事を願う様に
原始的生活での野生への目醒めを夢見るが矢先、
文明と衝突して儚くも夢打ち破れたる
「阿阿 この甲斐性無しの根性無し」と自虐的に自らを罵り責め立て
心狭め、一体何になるというのだろう?
かつて意気揚々と物語った未来への揺るぎ無き期待は、
将来に対するぼんやりとした不安には打ち勝てないのであろうか?
社会から疎外された人間の感情や、
アスファルトに埋没した個性を深く掘り下げ発見するには
ドリルもマシンも無用
私には鉛筆と白紙の恐怖があるのみ
阿阿 もしも私から筆舌を奪い
「書く心」を取り上げようものなら
確実に私は発狂するだろう
ユートピアの通行人の様に狂うだろう
そして終いにはそのユートピアの中に組み込まれ
狂っている事にも気付かずに生きながらにして狂い死ぬだろう
その哀れな最期を悲しみ惜しむ者など居なく
ただ笑い者にされて終わるだろう
望む所だ こんちくしょう 生かされるなら生きてやる
「いいえ 君は生かされているのです」と
全体主義の若者が老人の様な口調で説き伏せようと躍起になるだろうが
それも先の宗教書物と同じく如何わしいものを見る様な目つきで
決めつけられた思想を懐疑的に眺め
いよいよ私は無神論の破壊的な側面に立たされる
終末思想を提唱する画面上の偽善者達の口車に濁点を打ち込み
「エコも濁ればエゴになり 徳も濁れば毒になる」と
笑うでも無く嘲るでも無くただ無表情で
相当にひん曲がった性根はそう簡単には揺らぐ者ではない事を
私は良く知っている
神や仏、麻薬や酒、テレビやインターネット、
何かに依存して生き生きと生きている者達を半ば羨ましく思う反面
どうしても其処には依存して居られない自身を説き伏せる事が唯一出来るのは、只、是に有りと思いけり
私は生涯、紙と筆に依存する
以上。
遺稿 改 生こう 2010 11.23