私の書いた詩 "身土不二" 詩 吉本素直 (遺稿 改 生こう の連詩)
詩 吉本素直 (筆名)
嗚呼 やはり わたしは生かされているのかもしれません
ひとひとり わたしの想いをしたためん白紙の恐怖という名の紙も
ひとえに木々の生きておられたお陰ですものね
私の想いをたらしめん えんぺつも ひとえに木々が生きておられたお陰ですものね
そのことを 忘れてまでわたしは ヒトリヨガル訳にはいかないのです
できることならば 搾取せず 歩み寄り 寄り添うようにして
わたしがわたしであるあかしをあらしめる ひとひとりの無垢な姿を
笑わずに かといって 讃えもせずに 無言で あなたが命の尊さを教えて下さるのを
すっかり聞き逃しておりました さっぱり見て見ぬ振りをしておりました きっぱり忘れたふりをしておりました
わたしはあなたを 切り離しはせずに 同じ星の生きるものとして 同じ青空を仰ぐものとして
わたしは在り方を見つめ直したく思います
あなたの苦しみは わたしの苦しみで あなたの喜びは わたしの喜びとして
在り方を今一度 止まって 眺めるのではなく しかと見る 時がきたようです
今も昔も 実は変わらず 切にそう願うのです
たった一枚の白紙の恐怖から 今は あたたかみすらおぼえております
たった一枚の原稿用紙から 今は あなたがみえるのです
たった一枚の虚無に命を吹き込む際に 今は 空にたゆたう雲がみえるのです
そして わたしがわたしであらしめる あなたがあなたであらしめる 命に等しく降りかかる 雨粒をも
今ははっきりとみえるのです
もう ひとりではないのですね 孤独ではないのですね
たった一枚の白紙から あなたの鼓動が聞こえてきます
どうか あなたのたっとい命が 報われますように 祈りを込めてしたためます
一粒でも 一個でも 一叢でも 一座でも 一脈でも 一滴でも 一盃でも
一羽でも 一翅でも 一本でも 一頭でも 一匹でも 一人でも
願いましては たっとい命が そのたっとさに お気づきになられることを
気付いていたのに 気付かぬふりをしていた いままでを ごわさん ください
そしてこれからを どうかお見守りください
あなたとわたしは 切っても切れない縁ですからね
身土不二 詩 吉本素直
(遺稿 改 生こう の連詩)